誠-巡る時、幕末の鐘-
「お前達二人に用はない。あるのはそこの三人のみ。帰るなら帰れ。いるなら邪魔立て無用」
「俺達に何の用だ!!」
「あぁ、うるさい。耳障りだ」
桂は以前会った時とは全く別人であることに驚き、言葉を失った。
奏は男三人に向き直った。
桂達の酔いはもう完全に醒めていた。
「貴様、新撰組か!!?」
「新撰組ね……。そうであり、そうでない」
「どういう意味だ」
「そんなことはどうでもいい。一応自分達が何故死んでいくか知りたいだろう??」
「手柄にでもするつもりか!?」
「手柄??それこそどうでもいい。人間社会での手柄をとったところで何の役に立つ??」
奏は蔑んだ瞳を男達に向けた。
鬼であり元老院の者である奏にとって、ここでの手柄とはただの暇潰しに他ならない。
だから八月十八日の政変の時も行きはしたが、高見の見物を決め込んでいた。