誠-巡る時、幕末の鐘-
「奏、こういう人間は一刻も早く葬るべきなんだよ。いずれは僕達のこともとやかく言うようになるからね」
「………………」
「ほら、コレ持って帰ってよ。もう用済みだから」
男達の亡骸を見て、酷薄に笑みを浮かべる兄を、奏は不思議な気持ちで見ていた。
男達に対する同情ではない。
もっと何か……別の……。
………知りたい……。
……………思い出さなきゃ。
土方達も目を見開き、今の状況整理に追われている。
桂達は見知らぬ男の乱入と共に部下の死を目の前で目撃し、思考が追いつくのに時間がかかっていた。
この中で即座に対応し、反応を見せたのは珠樹だけだった。
「田村、酒井、山上!!」
やっとのことで把握し終えた桂と高杉が三人の元へ駆け寄った。
当然傷は深く、絶命していた。