誠-巡る時、幕末の鐘-



「奏、こういう人間は一刻も早く葬るべきなんだよ。いずれは僕達のこともとやかく言うようになるからね」


「………………」


「ほら、コレ持って帰ってよ。もう用済みだから」




男達の亡骸を見て、酷薄に笑みを浮かべる兄を、奏は不思議な気持ちで見ていた。


男達に対する同情ではない。


もっと何か……別の……。


………知りたい……。


……………思い出さなきゃ。




土方達も目を見開き、今の状況整理に追われている。


桂達は見知らぬ男の乱入と共に部下の死を目の前で目撃し、思考が追いつくのに時間がかかっていた。


この中で即座に対応し、反応を見せたのは珠樹だけだった。




「田村、酒井、山上!!」




やっとのことで把握し終えた桂と高杉が三人の元へ駆け寄った。


当然傷は深く、絶命していた。



< 943 / 972 >

この作品をシェア

pagetop