誠-巡る時、幕末の鐘-



「まぁ、君には感謝してるよ。土方歳三さん??」


「何だと??」




彼方はクスクスと笑った。




「奏、いいものをあげる」


「え??」


「奏!!」


「奏ちゃん!!」


「奏様!!」




みんなの声が同時に重なった。


珠樹と沖田が奏の手を引っ張りよせるより前に、彼方が奏の顎を持ち上げた。


そしてくいっと袖から取り出した小瓶の中身を奏の口に注いだ。




「……んっ!!…ゴクッ」




奏は吐き出すことも許されずに、全て飲み込んでしまった。


……一滴も余すことなく。


奏の体がひっぱられ、珠樹達に受けとめらた。




「奏!!何を飲んだんだ!!?」


「毒か!!?」


「副長、あれは確か……あの時の」




斎藤の声に、土方は彼方の手元を見た。


土方はその小瓶に見覚えがあった。



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