誠-巡る時、幕末の鐘-



「そいつは………梅雨の時に奏の枕元に置いてあった…」


「君の部屋から返してもらったよ。これは大事な薬でね」


「薬??」


「奏はあと……そうだね。二日で長い眠りに入る」




彼方は淡々と言葉を紡いだ。


聞き捨てならない内容に、みんなは納得できなかった



「長い眠りってどういうことだよ!!」


「それって死ぬってことかよ!!?」


「死なないよ。本当に眠りにつくだけ」




ポンポンと告げられる事に、土方達は怒りを爆発させた。




「ふざけんな!!!」


「そんなことして何になるんですかっ!!?」




普段は怒らない山南や松原、井上も皆にひけを取らないぐらい眉を逆立てている。


奏はというと、自分のことなのに未だに実感がわかないでいた。




あと二日で眠り続ける??


そんな薬が………。




不謹慎ながらも、“元老院随一の薬師”の血がうずいていた。



< 950 / 972 >

この作品をシェア

pagetop