誠-巡る時、幕末の鐘-
「そいつは………梅雨の時に奏の枕元に置いてあった…」
「君の部屋から返してもらったよ。これは大事な薬でね」
「薬??」
「奏はあと……そうだね。二日で長い眠りに入る」
彼方は淡々と言葉を紡いだ。
聞き捨てならない内容に、みんなは納得できなかった
「長い眠りってどういうことだよ!!」
「それって死ぬってことかよ!!?」
「死なないよ。本当に眠りにつくだけ」
ポンポンと告げられる事に、土方達は怒りを爆発させた。
「ふざけんな!!!」
「そんなことして何になるんですかっ!!?」
普段は怒らない山南や松原、井上も皆にひけを取らないぐらい眉を逆立てている。
奏はというと、自分のことなのに未だに実感がわかないでいた。
あと二日で眠り続ける??
そんな薬が………。
不謹慎ながらも、“元老院随一の薬師”の血がうずいていた。