誠-巡る時、幕末の鐘-
「は??ちょっ、おい!!………本当に寝てやがる」
「いや、その。実はな、見てたんだよ、長人達とのやりとり。その後、彼方を捕まえようとしたんだけどよ」
鈴は顔を上げ、宙を見た。
口も閉ざしてしまった。
「逃げられたのか」
「………その通り」
斎藤の静かかつ的確な確認に、がっくりと肩と首を下ろした。
「風戸からも離反したってこと??」
「あぁ。あー俺も疲れた」
そう言えば、風戸“だった”って。
そういう事だったんだ。
「俺も寝るぜ」
「あー。俺も。おやすみ」
「おやすみ」
次々と広間から出ていった。
響は余った布団を取り出してきて、紫翠と鈴にかけていた。
やっさしーなー!!もう!!
夜が明け、朝になるまであと一刻にもみたなかった。