誠-巡る時、幕末の鐘-



「………そんなの嫌だから指きりげんまんしよっ!!」




さっと小指を掴まれ、指切りをすることになった。




「指切りげんまん帰って来なかったら……」


「………あっ!!奏お姉ちゃんは僕のお嫁さん!!指切った!!」




うぉぅい!!?


何か空耳か??




「か、帰らないと嫁になれないぞ??」


「絶対に見つけだすから!!だからいいよ、帰ってこなくても。探してお嫁さんにするから!!」


「誰の影響だ、誰の」


「さぁね〜〜??」




沖田か。


沖田だな。


絶対沖田だ。




「………沖田さんだな」




栄太はニッコリと笑った。


その顔までも沖田に見えてきた奏は、引きつり笑いを返した。




「じゃあ、栄太。またな」


「うん、またね!!」




さよならは言わない。


だって会わないと嫁にされちゃう!!


…………嘘。


さよならは……さびしいから。


永遠の別れみたいで。




奏は背を向け、屯所へと足を向けた。


多少のふらつきを抑えて。



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