誠-巡る時、幕末の鐘-



「じゃあ…………あの………桜の木の………所で……また……会いましょう??」




奏はふわりと笑った。


その時、みんなの目尻に光るものがあるのが視界に写った。




「……約束……ですよ。…………鷹」


「あぁ。あいつらには伝えない。俺、殺されるかもだけどな」




鷹は冗談交じりに肩をすくめた。


奏はそれにクスリと笑った。


そして、すうっとゆっくり瞼が落ちていった。




「………みなさん……大好き………ですよ………ずっと………………このまま………………」


「奏ちゃん!!?」


「おい、奏!!」


「奏、目ぇ開けろ!!」




だが、すぅすぅと安からな寝息が、壬生寺でみんなの耳に届いた。


がっくりと膝をつき、うなだれる土方達。


奏は…………幸せそうに眠っている。



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