誠-巡る時、幕末の鐘-
「……そんなお亡くなりになったみたいにしないでください。奏様はお休みになられただけです。雷焔の里でお休み頂きます」
爺はゆっくりと優しく奏の髪をすいた。
本当に大切に思っているのだ。
「……響、奏が目覚めたら教えてくれ」
「分かりました」
響が涙を吹き、しっかりと頷いた。
「響、荷物をまとめてきなさい。このまま里に戻ります」
「俺も手伝うぜ」
響と鷹が屯所へと戻っていった。
しばらくして、ある程度の荷物を抱えた二人が戻ってきた。
「ではみなさん。また」
「お世話になりました。あの………これからも時々様子を知らせに伺いますね」
「あぁ、よろしく頼む」
近藤は奏の頭を撫で、響に頭を下げた。
響もぺこりとお辞儀を返した。