誠-巡る時、幕末の鐘-
「……行っちゃいましたね」
「あぁ」
沖田が鷹が飛び去った方を見上げ、小さく呟いた。
隣にいた土方がようやく聞き取れたぐらいの声だ。
「………さて、俺達は明日からもがんばるぞ。明日の巡察は新八と左之だ」
「えー」
「嘘だろう!?」
「四の五のいってんじゃねぇ!!」
「もし、奏が数十年後に目を覚ましたとして、新撰組の名が地におちていたら、間違いなくひどい目にあわされるでしょうね」
「そうならないためには日々がんばるしかないと」
『そ、そうだな』
山崎に軽く脅され、島田に優しく諭されれて、ようやく納得したようだ。
「その時あいつに見せ付けてやろうじゃねぇか。俺達の生きた証をな」
土方の言葉に答えるように、みんなの瞳は輝いていた。
誰からともなく笑い声があがった。
夜はまだ明けない。
だが、土方達の心はこれからの未来に光輝いていた。