洞穴咄〜ホラーナハナシ〜
『ポ〜ン ルートを外れています。ルートを再探索します』
「いきなり? このナビ助。ああ、女の人だからナビ子さんか。目的地まで寄り道も許さないのね」
文恵は軽い調子で言ったのだろうが、考えてみれば私の仕事も同じような物。
底辺の作業員は脇目もふらずに働かなければ、すぐお払い箱になってしまう。
的外れな要求にも解りにくい作業の指示にも、自分なりになんとか応えていかなければ、明日の仕事にはありつけない。
そんな竣工という目的地へ向かう為のナビゲーションから、日々奴隷のように働かされているのだ。