洞穴咄〜ホラーナハナシ〜
しかし私は「きっと草むらで野グソでもしていたんだろう」と結論付け、その疑問を払拭した。
「どうしたの? 青い顔してるよ?」
けれど私は、あの生気がまるで感じられない少年の顔色を、文恵の言葉で思い出してしまう。
すると同時に少年が言っていた「気付いたらいけない」というフレーズが頭の中でリフレインを始めた。
「い……いや、なんでもないんだ。まだ動揺しているのかもな」
「そりゃそうよね。轢いちゃったかと思ったんだし」
微笑みを浮かべながらも、二人の間には微妙な空気が漂っていた。