【短編集】七ツ丘中 百物語
「森くん、窓ペットとって」
「あぁ……って、お前が乗るのかよ!」
「え? うん」
すでに膝で机に乗りかけている遠山。
「机、押さえててくれる?」
「……いい。俺が乗る」
いくらなんでも、女の子を机に乗せるなんてこと、できるわけない。ぐらぐらして危ないし、おっこったらどうするつもりだ。
「えー。あ、じゃあ私が机押さえる、」
「いいから、ベランダ側から拭けよ」
一人が拭いて、一人が支えるとか、全然はかどらないだろうが。
遠山はわかったのかわからないのか、ちょっとつまらなそうな顔をして、ベランダ側へと回った。
「気をつけてねー」