雨よ止まないで
鮎沢に謝罪のメールを打って、送信しようとしたとき・・・





“ピンポーン”





インターホンが鳴り、受話器に「はい」と言った。




「碓氷・・・」



聞こえたのは、鮎沢の声だった。


碓氷は、すぐに玄関のドアを開けた。



開けたドアの先には、雨でずぶ濡れの鮎沢がいた。
弱々しい視線を下げ、寒さに震える体を自分で抱きしめるようにしていた。




「早く、入って」


部屋に促し、ソファーに座らした。





「ほら、拭いて」


碓氷は、美咲の頭にタオルを掛けた。

その間、着替えを用意し美咲に声をかけようとしたが、タオルに使われた形跡はなかった。美咲の顔を隠す布になっていた。


着替えをテーブルの上に置き、美咲の濡れた髪を拭くと、美咲が言葉を発した。









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