Яё:set
確かに敵が居ない…。
外ではあんなに遭遇していたのに何故…?
…もし私達がこのダンジョンに足を踏み入れる事が敵の狙いだとしたら…?
「…レイ…戻りましょう。」
「なんで?」
「これは罠よ!」
夜明け前の襲来だって奇妙だった。
かなりの数のトラップを仕掛けておいたはずなのに、“敵”は一つもそれにかからなかった。
恐らく狙いはこのダンジョンに誘い込む事…。
レイは「考え過ぎだ」と言うけれど、私は胸騒ぎがして仕方ない。
必死に訴える私にレイは渋々「判ったよ…」と言って来た道を引き返し始めた。
だがすぐに「変だな…」と呟いて足を止めた。
「こんな道だったっけ…?」
「ウソ、迷ったの!?やだやだ!」
「ちゃんと来た道くらい覚えてるよ!じゃなくて…“道が変わってる”…。」
レイの言ってる事が理解出来ず私は眉を寄せた。