Яё:set
私が目をつけた被害者の少年の家は、郊外の高級住宅街にあった。
インターホンを押すと「はい」と、か細い女の声が聞こえた。
「警察の者です。…ちょっとお話を聞かせてくれませんか?」
そう言うと暫くして玄関の施錠を外す音がした。
扉が開いて姿を現したのは痩せこけた女性だった。
「…どうぞ…」
小さな声でそう言うと、彼女は私達を招き入れてくれた。
「捜査一課の茂田と赤井です。息子さんの失踪事件についてお伺いしたいのですが・・・」
「・・・もう何度もお話したじゃないですか・・・」
彼女は目に涙を溜めて搾り出すように声を発した。
その表情が“もうほっといてくれ”と言っているように感じたが、ここで引き下がっては何も始まらない。