Яё:set
赤井も同じように感じたのか、「担当医を覚えていますか?」と聞いた。
「ウォン先生というアジア系の先生でした。」
その“ウォン先生”とやらに話を聞ければいいのだが・・・
私たちは母親に礼を言って少年の自宅を後にした。
「どうします?製薬工場に行ってみますか?」
「ああ、そうだな。」
・・・絶対に何かを見落としている・・・
私はそう思えてならなかった。
製薬工場は清潔感のある真っ白な建物だった。
入口で警察手帳を見せると、受付嬢に「ロビーでお待ちください」と言われた。
赤井は落ち着きなくロビーを行ったり来たりしていた。
私はそんな赤井を見て少し苛つく。
「おい!座ってなれないのか!?」
「だって茂田さん・・・もう20分も待たされてんですよ?」
確かにちょっと遅すぎる。
「まぁ、待つのも仕事のうちだ。」
そう言って私は壁の見取り図をぼんやり眺めて担当者を待った。