Яё:set
「令状は難しいかもしれないなぁ・・・」
「ですねぇ・・・証拠がないですしねぇ・・・」
署に戻ると私は事件ファイルを広げもう一度見直す。
向かいのデスクでは赤井がPCで製薬工場のホームページを見ていた。
突然「茂田さん!!!」と大声を上げた赤井に私はびっくりして手にしていた湯飲みを落としそうになった。
「急に大きい声出すな!」
「これ見てください!」
興奮気味の赤井に言われてゆっくり立ち上がるとPC画面を覗き込んだ。
「ここです!・・・提携会社に韓国の製薬会社があります!」
「韓国・・・ウォンって医師は韓国人だって言いたいのか?」
有り得なくもないが、そんな証拠はどこにもない。
「もっと決定的な証拠を見つけろ!」
私は溜め息を付きながらそういってファイルに視線を戻した。
たまたま見ていたファイルに“医師”という字を見つけてハッとした。
すぐに別の事件ファイルを開く。
・・・これかもしれない・・・
どの事件の被害者も通院履歴があったのだ。
しかもそれは“精神科”・・・。
「・・・ウォンは精神科医だ。」
「それがどうしたんです?」
「もし、被害者がみんなウォンの患者だとしたら?」
私の言葉に赤井は目を見開いた。