Яё:set




私の隣に座る赤井はその刑事の報告をつまらなそうに聞いている。




軽く睨むと「アイツ一応同期なんですよ…」と囁いてあからさまに嫌そうな表情をした。




「そんなのをいちいち気にしてるから何時までたっても“青井”なんだ。」




「だから、僕は赤井ですって!」




ムキになってそう言う赤井を無視して私はメモを取る。




「他に報告は?」と言う本部長の言葉に赤井が手を上げた。




彼は先程のキャリア組の若い刑事をチラチラと視界に入れながら、昨日の捜査の報告をする。




「…というわけで、出来たら製薬工場の捜査令状が欲しいんですが…」




「君の報告を聞く限りでは、憶測の段階だ。…確かに疑わしいが、令状は無理だろう。」




予想通りの言葉に「ですよね…」と言う赤井。




それを横目にキャリア組の若い刑事は微かにほくそ笑んだのが判った。





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