Яё:set




─時刻は深夜0時50分…。




「そろそろですね…。緊張してきました…。」




赤井は助手席で足を揺すりながら終始落ち着きがない。




私はそんな様子を横目に見て「そうだな」と答えた。




道の遥か向こう側にヘッドライトの明かりが見えた。




…来た…!




私が「おい!」と声を掛けると素直に振り返る赤井。




「…悪く思うなよ?」




一瞬“えっ…?”という表情をした彼の鳩尾に私は思いっきり拳を繰り出した。




赤井の目が私を見て言った。




“どうしてですか…?茂田さん…!”




「…お前はまだ若い。…こんな事で将来を棒に振っちゃ駄目だ。」




気を失った赤井の腰から取り出した手錠で、彼の右腕とハンドルを繋ぐ。




…そして静かに車から降り、私はひとり“ゲーム”へと向かった。





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