Яё:set
「“運命を変えられる”…か。」
運命なんて信じてないし、たかがゲームで変えられるとも思えない。
そんなに変えたいのなら、手っ取り早い方法もある。
私はフラりと立ち上がって白線まで歩いた。
『間もなく電車がまいります。白線の内側まで…。』
白線…これは境界線だ。
─“あの世”と“この世”の─
運命を変えたいのならこの境界線の向こうに行けばいい。
この命が消えれば、それだって運命を変えたって事になるでしょ?
ゆっくり白線を跨ぐ私。
…目の前に…
…向かい側のホームに…
─“彼”が居た。
知らない女の子と談笑する彼。
“何故?…何故私の所へ帰らずに他の女の所へ…?”
それが私達の“運命”なのか?
そんな運命なら変えてしまいたい。
─パァァァァァッ…!
私の運命を変えてくれる電車が来た…。
その電車に飛び込んでしまえば簡単なのに…
─“運命の女神様”って知ってる~?
…その言葉が踏み出しかけた私の足を止めた。