Яё:set
─落ち着け…思い出すんだ!
俺は確かフリーゲームをしようとしてたんだ。
そして《開始》ボタンを押して…
そこからの記憶がない。
「《開始》…ちょっと待て…やっていたのは…」
“脱出ゲーム”…!!
噴き出す汗…
尋常じゃない程の心拍数…
荒くなる呼吸…
過呼吸気味で苦しくなる胸を押さえて落ち着かせる。
もう一度部屋を見回す。
─ない…!窓も…ドアも!
完全な密室。
冷静になれ!そんなはずない。
現に俺がここに居るじゃないか。
「…ただPCでゲームをしていただけなのに…」
そうだ、この部屋にもPCがあったな…
流れる汗を袖口で拭うとPCのスイッチを入れた。
ガリガリと音を立ててPCが動き出した。
ふと起動時の青い画面を見て、俺は固まった。
─ようこそ、“挑戦者さん”─
そして切り替わった画面には、真っ黒な壁紙とデカデカと表示されたデジタル時計…
デスクトップ上のアイコンは数える程しかない。
その中に“説明書”というテキストファイルがあった。
俺はまず、そのファイルから開いた。