Яё:set




「このゲームを《開始》した時点で途中で止める事は出来ないから。」




確かにそんな事が書いてあったような気がする。




「だ…大丈夫よ!止めようなんて考えてない!…ただの冗談だから~」




これは本心。




私は彼がここに居るなら止めるつもりはない。




シンは別人のような表情をまた元のあどけない笑顔に戻して「良かった」と呟いた。




安堵の息を吐きながら、私は無意識の内にシンを観察していた。




それに気付いて私はハッとする。




…またやってしまった。




私の悪い癖だ。




知らず知らずのうちに“人物観察”をし、「この人はこういう人」と自分の中で決めつける。




だから誰に対しても一歩引いてしまうのだ。




そうなると先入観が邪魔して本来の人物像が判らなくなる。




そもそもネットにハマったのも“顔が見えないから”である。




顔が見えない分、先入観みたいなものに邪魔されず人の接する事が出来たから…。



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