Яё:set
長老の話は思いの外長く、内容的にも中々理解出来ず何度も聞き返してしまった。
まぁ、要約すると“御神木のお告げがあってこの世界に不吉な陰があり、エルフの村も危ない”って事らしい。
「…つまり、私にその“不吉な陰”が何かを見てこいと…?」
「うむ。…お前は弓も魔法も村の中では立つだろう?」
そうは言っても長老の言い方が少し引っ掛かる。
肩に乗っていたシンは「君には守らなくてはいけない家族がいないからじゃないか」と私にこっそり言った。
私がこの村を離れても誰も困らないって事かな…?
長老は私の考えを読んだらしく、苦笑しながら「勘違いするな」と付け加えた。
「確かにお前は身寄りのないエルフだった。しかもただのエルフじゃなく、“ダークエルフ”だ。」
私の肌は他の村人と違って少し褐色がかっているのは、生い立ちに関係があるようだ。
長老は私の能力が高いのも、そのせいだろうと語った。
「だが、この村にお前が居る事で皆が安心している。…お前は必要ない人物ではない。」
村を護る役目として適任だが、旅に出すならそれも適任だと言う結論に至ったらしい。
私は信用されているんだと思うと、長老の頼みを断る事は出来なかった。
…というか、ここで拒否したら物語が進まないのだろうけど…
とにかく、私はそうして冒険へと出発する事になったのだった。