Яё:set
私は光の中に居た。
このゲームの開始ボタンを押した時と同じ、あの“無”の空間だった。
フワフワとしていて凄く安心出来る所だった。
─夢の中だし当たり前か…。
でもちょっと考えて“これは夢じゃないかもしれない”と思い始めた。
だって、ゲームの世界なんだから“夢”なんて見るのはおかしい。
というか、このゲームがそもそも夢みたいなものだろう。
─夢の中で夢を見たらどうなるのかな…?
そんな馬鹿げた事を真剣に考え始めた時、シンの声が聞こえた。
“ゲームは楽しんでる?”
「…ええ。そんなに興味なかったけど、意外と楽しいわ。」
“良かった。君向きのゲームだしね。”
私向き…?何故そう断言出来るのかしら…
シンの言い方が少し気になった。
だって、まるで私の事をなんでも知ってるような言いっぷりなんだもん…。