Яё:set




この世に私を理解してくれる人なんていない。




もしシンが私を理解しているのだとすれば、それはやはり“ゲームの中”だからだろう。




つまりシンはゲームのプログラムの1つで、きっと私が造り出した架空の存在だからだ。




“ところで、ゲーム内での眠るという行為は回復以外にも大事な役目があるのを知っている?”




「大事な…?…なに?」




“記録だよ。”





シンが言うには現実世界でも“睡眠”はその日の出来事を脳内に記憶する役目を担っているらしい。




「つまり、夢の中でセーブが出来るのね?」




でも私はまだセーブする気はなかった。




このゲームでは一度しかやり直しが効かない。




ならばせめて“レイ”に会ってからがいい。




シンは私がそう言うと“判った”と言ったきり静かになった。




そのうち辺りが光を増して…





目が覚めた時見えたのは、宿屋の低い天井だった。




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