Яё:set




ジゼルバの夜は早く、まだほんのり明るさが残る時間帯から酒場の前は酔っ払いで溢れかえっていた。




あちこちから罵声と笑い声が飛び交い、治安があまり良くない事が判る。




私はシンを肩に乗せてそんな酒場の前を横目に通り過ぎ、武器屋の前まで来ると店主が丁度店に鍵を掛けている所だった。




「あ…今日はもう店じまい?」




「ん?うちの店に用だったか?悪いねぇ、エルフのねぇちゃん。…変なのに荒らされるのはごめんだからな~」




そう言って店主は酒場の方を指差した。




私はちょっと落胆気味に「出直します」と言うしかなかった。




「あ~待った!弓の強化だろ?」




「ええ。どうも威力に欠けるから…」




「裏に回んな。見てやるから!」




私はお礼を言って裏口から店内に足を踏み入れた。




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