Яё:set
作業場はまだ熱気がこもり、油と鉄のような独特な臭いが漂っていた。
店主は「貸しな」とぶっきらぼうな言い方で私から弓を受け取ると、真剣な表情で細部までじっくりチェックし始めた。
「さすがエルフの弓だ。機能性には優れてる。ちょっと手を加えれば数段威力が上がるぜ?」
「ほんと!?お願いできますか?」
「明日の昼過ぎまで預かっていいかい?」
「ええ。…あ、でも貨石これで足りますか?」
私は今後を考えて多少の貨石はしまって、残りをカウンターに置いた。
店主はそれを“ひぃふぅ”と数えてう~ん…と唸った。
「本当はもっと加工出来るが…これで出来る範囲に強化すればいいかい?」
私は「助かります!」と店主にお礼を言った。
シンはそのやりとりを見て「いい人で良かったね」と囁いた。