Яё:set
進むに連れてハッキリと聞こえて来る激流の音。
そこに架けられた橋を見て私はゴクリと息を飲んだ。
「…この橋しかないの…?」
「さぁ…遠回りすれば他にもあるかもよ?」
今にも崩れ落ちるのではないかと思える程頼り無いその橋に、頭の中で「遠回りしようか…」と葛藤する。
だがすぐに「こんな所で無駄に時間を費やしたくはない」という結論に至り、意を決して足を踏み出した。
数歩行った所で突風に煽られ木製の橋はギシギシと音を立てて大きく揺れた。
私の声にならない叫びは激流の轟音にかき消されてシンには聞こえないらしい。
どんどん先を行くシンは向こう岸に着くと私を振り返った。
「フウカ、早く~」
「むりむりむりむり!!!」
私は這うように少しずつ前に進む。
やっと真ん中くらいまで来て「あと半分!」と自分を励ました時だった。