Яё:set
キャンプを張るにあたって、周辺には簡単だがトラップを仕掛けておいた。
それにかからなかったという事は、かなり鋭い勘の持ち主だという事が判る。
辺りは暗く、夜目の利かない私達にはソレの姿が見えなかった。
─ガサガサッ…!
瞬時に茂みに向かって私は矢を放った。
確かな手応えと「うっ…!」という短い呻き声が聞こえた。
茂みからソレが飛び出し、慌てて逃げる後ろ姿をレイが追う。
「…レイ!」
─防具も着けずに…!?
ただでさえこの辺りの敵は強いのに、インナーだけなんて自殺行為だ!
私も慌てて彼の後を追った。
崖の麓でやっとレイに追い付くと私は彼に声を掛けた。
「そんな装備で無茶よ!」
「クソッ…!見失った!」
「まだ夜明け前だからね…仕方ないわ。明るくなってから捜索しましょう?」
レイは納得いかなそうに「ああ」と頷いた。