夏の記憶
あの日から、わたしは美咲の視線が気になって仕方なかった。

本人に見つからないようにそっと美咲のほうをみると、その視線は気付かれないよう、さり気なく、でもしっかりとタケルをとらえている。


わたしは動揺した。


それは、タケルに対して今まで味わったことのない感情だった。



「タケルをとられてしまう」



言いようのない焦りがわたしの心を支配した。



もしタケルが美咲の視線に気が付いたら。


もしタケルが美咲に夢中になってしまったら。







そんなの嫌だ!!!
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