夏の記憶
それは、GW前に美咲のタケルに向けられた視線に気がついたときからずっと思っていたことだった。


でも今更付き合うっていったって、タケルがわたしのことをどう思っているかなんてまるで自信がない。


だって、わたしたちは物心ついたときから知っていたけど、当のわたしに恋心が芽生えたのがそもそもここ数カ月なのだから。

都合よくタケルも好きになって両想いでしたなんて、そんなドラマのような話があるのだろうか。



「美咲絶対そろそろ告白すると思うんだよね」


梢の発言にわたしの心臓は大きくドクンと波打った。


「なんで?だれから聞いたの?」


「う~~ん。見ちゃったんだよね」


梢はもったいぶるように、下敷きでパタパタ顔をあおいだ。


栗色の柔らかい髪が下敷きの風になびく。


「なにを?教えてよ」


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