夏の記憶
「それでね、ポイントは苺飴」


「いちごあめ?」


「そう。静幡多神社のお祭りはね、昔からりんご飴じゃなくて苺飴が出るんだって。
それでね、その苺飴を好きな人と食べると、その二人くっつくらしいよ」


苺飴の噂は、わたしも小耳にはさんだ事はあった。

静幡多神社の夏祭りも歩いて行ける距離だったから何度か言った事はあったけど、恋に興味がなかったわたしは苺飴は食べた事はない。


でも、細長い串に刺さった真っ赤な苺に、食紅がたっぷりとついた飴がてかてかにコーティングされた【苺飴】は目にした事がある。



「優奈は浴衣はマストね」


梢は楽しそうにキューピット計画を続ける。


「途中でわたしと見城がさり気なく優奈達とはぐれるから~、そしたら二人きりになるから~~雰囲気が盛り上がったところで~~告白!」


途中どうやって雰囲気を盛り上げたらいいのかは見事に省略されていたが、わたしの気持ちは既に決まっていた。
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