夏の記憶
祭りの後

手をつないで

8月12日。


その日は、朝から夜のビッグイベントの事で頭がいっぱいだった気がする。


なぜ「気がする」なのかというと、不思議な事に一週間前に梢にタケルのことが好きだと告白してから今日まで記憶があやふやなのだ。


あっという間に過ぎた、という表現が一番正しいかもしれない。

補習に行ったり梢と遊んだりしていたんだろうけど、とにかく一週間が数秒で過ぎてしまった感覚なのだ。


それはまるで、夢の中にいる感覚にそっくりだった。


でもタケルに思いを伝えることで頭がいっぱいだったわたしは、その不思議な感覚の意味すらその時は考えていなかった。


そこに隠されていた重大な事実なんて、考える余裕はとてもなかったから。
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