夏の記憶
その後の梢の作戦は、まあまあ計画通りだった。


金魚すくい、たこ焼き、ガラス細工、お好み焼き、ボールすくい、輪投げ、綿あめ、トウモロコシ、かき氷……


所狭しと境内に並んだ出店を4人で見て回った。


途中たこ焼きを2パック買って、階段に座って4人で食べた。


出店はどこも行列で、幸ちゃんがたこ焼きの列に並んで買ってきた。


歯に青のりがついていないか、梢にこっそりチェックしてもらった。


そのあと梢が、苺飴を2本買って4人で食べようと誘った。


「さっきは見城が並んだから次は朝比奈が買ってきて」


と梢がいった。


これはきっとわたしが言うと不自然になってしまうんだけど、梢がいうと「やれやれまたか」と納得してしまうから不思議だ。


そしてタケルが苺飴を買いに行った時、梢はわたしに目くばせすると、タケルに見つからないよう慎重に、幸ちゃんと祭りの人ごみに消えていった。
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