夏の記憶
わたしとタケルは夏祭りの会場を外れて、神社の裏の小高い森に続く階段を上がっていた。


手をつないだまま、わたしたちは並んで階段を上がった。


「この上カップルだらけだぜ」


タケルを見上げると、大きな瞳がいたずらっぽく光った。


「え、なんでそんなところにいくの!?」


驚くと同時にわたしのなかにかすかな期待が芽生える。


タケルはわたしと、カップルがするようなことがしたいのだろうか?


しかしその期待は、タケル次の言葉で完全に打ち砕かれる。



「幸助と牧田ってわざとはぐれたんだろ?」



「え!?わざとって!?」



思いがけないタケルのセリフに、わたしの心臓は破裂しそうになった。



まさかわたしがタケルと二人になる計画が、タケルにバレてしまったのだろうか。
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