夏の記憶
お社で
帰り道
暑い夏の日の昼下がりだった。
窓の向こうからは忙しそうな蝉の鳴き声が響いてくる。
カーテンを遊ばせる午後の風は、生ぬるく肌にまとわりついてきた。
遅めのお昼を食べると、私は携帯電話だけポケットに入れて、他には何も持たずに外に出た。
「優奈、夏休みの宿題終わったの?」
玄関から追ってきたお母さんの声に、「うん」と生返事で返す。
とても勉強なんてする気分じゃなかった。
昨晩、私とタケルは重い空気のまま黙って祭りの会場を後にした。
帰り道で、先に口を開いたのはタケルだった。
「おまえ……最近あの社とか行くの?」
私の少し前を歩いていたタケルは、私の方を振り向かずにそう言った。
「へ?」
不意の事に、私は我ながら情けない声で返事をする。
「ぶはっ」
タケルが突然吹き出す。
窓の向こうからは忙しそうな蝉の鳴き声が響いてくる。
カーテンを遊ばせる午後の風は、生ぬるく肌にまとわりついてきた。
遅めのお昼を食べると、私は携帯電話だけポケットに入れて、他には何も持たずに外に出た。
「優奈、夏休みの宿題終わったの?」
玄関から追ってきたお母さんの声に、「うん」と生返事で返す。
とても勉強なんてする気分じゃなかった。
昨晩、私とタケルは重い空気のまま黙って祭りの会場を後にした。
帰り道で、先に口を開いたのはタケルだった。
「おまえ……最近あの社とか行くの?」
私の少し前を歩いていたタケルは、私の方を振り向かずにそう言った。
「へ?」
不意の事に、私は我ながら情けない声で返事をする。
「ぶはっ」
タケルが突然吹き出す。