夏の記憶
「優奈……タケルのとこ行くよ」



私は瞼を閉じて、また開く。


私を覗きこむ梢の顔は、泣いていた。


梢の後ろには幸ちゃんの顔が見える。


やっぱり泣いている。





腕で身体を支えて、重い身体を起こす。





ポケットに入ったままの携帯電話が腿を少し圧迫した。



タケルにあいにいかなくちゃ。

私の目から涙が落ちる。
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