夏の記憶
私はベッドから跳び起きた。



そうだ。私はさっきまでタケルと会っていた。



昨日なんかじゃない。ついさっき。




「優奈!??」



私の腕をつかもうとする梢も、そんな私を見た後梢を見た幸ちゃんも、もう私には見えない。



勢いよく開けた部屋のドアを閉めずに


階段を駆け下りて


ピンクのクロックスのサンダルを足に突っ込んで


私は玄関を飛び出した。



夏の太陽の熱を反射して、熱く焼けたアスファルトを蹴って私は走る。


あの社へ。
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