夏の記憶
タケルと今生の別れを告げたあの夏から、何度も夏を通り過ぎた。




私はいまだに夏になるとあのタケルのいたずらっぽい目の光と手の感触を思い出す。




たまに左手を開いたり閉じたりする癖はまだ抜けないけど



お祭りにも行けるようになったし



今年はあの社にも行ってみようと思う。






肌にまとわりつく蝉の声と


全身を包み込む暑さが


心地よく感じられる季節になったから。


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