夢幻-ゆめまぼろし-

「私、同じクラスの
明森来蘭(あきもりらら)
って言います。」


あっ、
そういえば
隅の方にちょこんと
座っていたような。


「あの、
よろしくね!!」


私は手を差し伸ばされて
少し戸惑う。


咲の顔が浮かんできて
私には手を握る
資格なんて無い気がした。


親の期待を裏切って
妹の涙もそのままに
家から逃げたわたしに
友達を持つ資格なんて
あるのだろうか。


「どうかしたの?」


「いや、なんでも。
よろしくね、明森さん。」


「明森さんなんて、
堅苦しいよー。

来蘭でいいよ?」


「来蘭...ちゃん。」


「ま、それでもいいか。」


来蘭ちゃんは
苦笑いしていた。

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