夢幻-ゆめまぼろし-

「さてと…。」

何を撮ろうかと
考えたあげく
たどり着いた場所は
『音楽室』だった。


自分で来ておいて
ため息が出る。


きっと
体に染み付いちゃってる。
勝手に指が
ピアノを
求めていたのかもしれない。


私はカメラを置いて
ピアノに座り
手を置いた。


ショパンの夜想曲op9-2

5歳のときに
練習を始めた。
この曲は私の一番得意な曲で
両親にも良く褒められた。


あのときは
楽しかった。

自由にピアノを弾いていた。

ただ、両親に認めてほしくて
必死に弾いた。

でも、全然苦痛じゃなかった。


昔に…
あの頃に戻りたい。


『パシャッ!』


「!?」



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