夢幻-ゆめまぼろし-

それから私は
先輩に説明した。

どうしてココに
来ることになったのか。
どうして音楽科に
入らなかったのか。


すると、先輩は言った。

『君は何にも悪くない。』
って。


「君は自分の意志に
従っただけなんでしょ?」


「はい。」


「君は自分なりの
人生を送ろうとした。

だったら、それは
絶対正しい選択だ。

自分の人生は
自分に決定権があるんだからさ。」


「でも、私
妹を裏切っちゃったんです。

それでも私は
悪くないって言えるんでしょうか?」


「言えるよ。
妹ちゃんも分かってると思うよ。」


「だといいですけど。」



私は、下を向いた。
咲、元気かな?
ピアノ頑張ってるのかな?


「そんなに心配しなくても
大丈夫ですよ。

家族なんですから。」



「はい。」



< 25 / 28 >

この作品をシェア

pagetop