夢幻-ゆめまぼろし-
本来、
咲乃はもっと
レベルの高い学校に行って
ピアニストになるべきなんだ。
なのに、
何も言えなかった。
私は
切れた携帯を閉じて
上を向いた。
空は綺麗で澄んでいた。
涙でぼやけていたけれど。
「・・・。」
先輩は私を見ても
何も言わなかった。
ただ空を見上げては
写真を撮っていた。
先輩はきっと
私が内容を言いたくないのを
察してくれたのだろう。
そんな先輩に
心から感謝した。