夢幻-ゆめまぼろし-
~穂乃の幼き頃~

「お母さん。
 私ね、他の楽器も
 やってみたいの…。」

「なんの?」

「フ…フルート。」

「だめよ。
 そんな暇があるなら
 ピアノを弾きなさい。」

「…はい。」

「分かったらいいのよ。
 さあ、ピアノしましょ?
 お母さん教えてあげる。」

「…うん。わかった…。」


*     *     *


本当はピアノなんて
やりたくなかった。

親の七光りとか言われて
耐えられなかった。

やりたくてやってたわけじゃない。
なのに、
両親のせいで
私は悪者扱いされてきた。

悔しかった。

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