ヤンキー君はトキメキ製造機
~第二章~
桜色のカーペットを踏み歩く
気温は春休みに比べてうんと上がり
ぽかぽかと眠気を誘ういい天気。
体育館に張り出されたクラス表
自分の名前だけ確認してクラスへ向かう
「3-A 」
またA組エリートクラス。
机は確認しなくてもわかった
机が自己主張してるようにそこにあった
「私は東条芽亜の机です」
机の上に乗せられた分厚い本。
パソコンの文字で
「東条芽亜」とくっきり書いてある
私は自分の名前がたまらなく嫌だ
教科書を裏返そうかと手を伸ばし、やめた
バカみたいだと思ったから・・・
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HRが始まって自己紹介タイム
成績で分けられたクラスメイトは皆顔なじみ
……ただ……
隣に座る男子はあきらかに違う雰囲気
一際明るい栗色の髪に無数のピアス。
みたことのない顔だった
そんなとき隣の男がガタンと音をたてて立ち上がった
「タツミ。タツミゴウシロウ、F組から来ましたーよろしくっす」
・・・F組?学年最低クラスが
なんでまたA組に?
ゴウシロウって言うんだ。変な名前。
ゴウシロウの教科書が目に入った。
「竜己 剛志朗」
剛志朗…こう書くんだ。
名前だけ聞くと変だけど
漢字を見るとなんだかかっこいいと思った。