ヤンキー君はトキメキ製造機


ある夜


私は陸上部の親友、花とファミレスに来ていた。

最近陸上部に顔を出していなかった事もあり、なんだか花との会話が懐かしく感じた


「ねぇ芽亜、なんで最近部活出てないの?」
「ちょっと最近・・・膝の具合悪くて」

嘘だった

花のまっすぐな目が嘘を暴くんじゃないかって、怖くて、下を向いた。


「まあしょうがないけど、ちょっとキャプテンの自覚もちなよ」
「うん・・・」


そうだった。
キャプテンだなんてすっかり忘れてた。
指名された時は、あんなに嬉しかったのに・・・


ズズーッ
「・・・ジュースとってくる」花が立ち上がる

うんと答えてから携帯を開き時間を確認する


22時35分。


そろそろ帰らなきゃと思い、何気なく顔を窓に向ける




(あ…………)




見覚えのある二つの顔。
それはまぎれもなく愛しい人とそのお姫様


楽しそうに笑うアリス
隣には王子様。


胸が苦しい
目が離せない
見ちゃ駄目だ…
見ちゃ、駄目だ…


剛志郎が屈む
アリスが背伸びをして・・・




「カルピスとコーラ混ぜた〜」
ハッとして顔をあげる。
「花…」
「迷ったから両方にした!!」

嬉しそうにジュースをすする。

「・・・不味っ」

私は無理に笑顔をつくった。でもきっとひきつってた。


花の目を盗んで窓を見る。

剛志郎達はもういなかった…






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