『白雪姫♀♂王子様』
【陵斗Side】
「着いたね。陵斗」
「あぁ」
「早く、うちに挨拶しに行きましょう?」
亜季は俺の腕に手をまわした。
しかし、俺はすばやく腕を払い、歩き始めた。
俺はいっさい亜季に優しさを見せなかった。
今だって、俺は亜季の荷物を持っていない。
「陵斗待って!」
重そうな旅行鞄を両手に、亜季は俺の後ろをついてきた。
「亜季。俺はここで失礼するよ」
「はぁ?何ワケの分からないことを・・・。」
「ホテルは自分で探す。じゃ」
ロンドンのタクシーに乗って、亜季を置き去りにして、タクシーを走らせるように命じた。
「適当に走らせてくれ」
ロンドンにいるならと、諦めず電話をかける。
『おかけになった電話番号は・・・』