septcouleur
私が小学校に入学した頃から私の両親は仲が悪くなっていた。
幼いながら私は“美香のため”そう言って両親が無理やり夫婦生活を維持させていたのを知っていた。
母は父と離婚し、働きに出た。
専業主婦であった母にはスーパーのパートに出ることさえストレスであったようで、
父が吸うのをあれほど嫌がっていたタバコを吸うようになり、よく深夜にお酒のにおいをまとって帰ってくるようになった。
私は一人、冷凍食品を温めて食べ、寝ていたが、母が帰ってきた音で目を覚ました。
そして瞼を閉じたまま、
“全部美香のせいよ。生まなければよかった。”
母が私の顔を見てそう言うのを毎晩聞いた。
いつだっただろうか。
母が一万円札をテーブルにおいて、
なにも言わず家を出て行ったのは・・・・・。
確か、雨が降る春の日だったような気がする。