septcouleur



それから私は施設に入った。




しばらくして母方の親戚だという老夫婦に引き取られた。





その老夫婦には娘が2人いた。


私が引き取られたころにはもう家を出ていたので私とはひとまわりは年が離れていたと思う。





彼らは私にやさしくしてくれた。



必要なものは買い与えてくれたし、たまには外に連れ出してもくれた。



おばさんの作るクッキーはちょっと苦かったけど、ほかのお料理は冷凍食品とは比べ物にならないくらいおいしかったし、


おじさんと縁側で将棋をするのも結構好きだった。




おじさんとおばさんの娘さんたちとは一回も会ったことはなかったが、
たまに私に服を送ってくれた。







彼らに引き取られて4度目の春。



中学に入学すると同時に、私は父の弟夫婦の家に引き取られることとなった。



おじさんの会社が潰れ、生活が苦しくなったからだ。





“ごめんね。”



おじさんとおばさんはなにも悪くないのに私にそう言ってくれた。


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