Sweet kiss〜眠り姫は俺様王子に捕まりました。
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部屋を出て隼人たちと合流すると、さっそく何をしてきたんだと問い詰められた。
「なんもしてねぇーよ」
つーか、今回したのはどちらかっていうと真白なんだよな。
熱のせいでしたとかでなきゃいいが……下手したら、覚えてない可能性がありそうだ。
「藤原、今日はオレもすぐに帰るから、真白の部屋開けてくれ」
「それはいいけど」
「それから、二人きりにしてくれ」
「志貴、ついに耐えきれず寝込みをっ!?」
「するかっ! 約束したんだよ、約束」
「あれ、真白起きたの?」
「声は出せなかったがな」
「仕方ないわねぇ。看病、ちゃんとしてよね?」
「そんなの当たり前だ。つーか、お前まだ熱あるだろう?」
いつもと呼吸が違うし、顔もちょっと赤く見える。
「たかだか37℃よ。これぐらい平気」
「いやいや。まだ休んでてもいいレベルじゃん」
「先輩、心配し過ぎですって」
「昨日の今日だ。悪かったらすぐ帰れよ?」
約束させると、それぞれの教室に向かった。
席につくと、オレは真白の家で見たものを思い出していた。
首を拭いた時に見えたあれは――虫刺され、なのか?
ダニに刺されたと言えば、それで納得できそうなものに見えたが……やたら、胸が騒ぐ。
藤原のこともあるし、もしかしたら二人同時に事が起きるんじゃないかと、そわそわしてたまらなかった。
休み時間になるたび携帯を見て、真白からの連絡が無いかを確認する。
昼休みなんて、携帯を睨みながらの食事。
「志貴くん、そわそわし過ぎよ?」
見てられないと、浅宮にツッコミを入れられた。
「今日も放課後の仕事はないんだから、焦らずいなくちゃ」
「ははっ、翠ちゃんそれムリ~」
「無理じゃないわよ。辛抱できないと、二人とも嫌われちゃうわよ?」
「えっ、オレまでカウントされてる?」
「当たり前じゃない。特に、隼人くんは動き出したら止まらないってこと知ってるから、誰かさんに気苦労かけちゃうのよ? これは責任ものねぇ~」
楽しげに言う浅宮に、隼人はどんな苦労をかけてるんだと聞く。だが、浅宮は答えることなく食事を続けていた。
「それよりも――真白ちゃんって、紫乃ちゃん以外のお友だちいないのかしら?」
「翠ちゃん、オレのこと無視なんだ」
「クラスのやつとは普通にしてるみたいだったぞ?」
「それならいいんだけど。なんだか最近、雰囲気が違って見えたから」
「真白がか?」
「真白ちゃんっていうより、クラスの方かしら? もし仲良しの子がいなかったら、倒れた時大変でしょ? 事情をわかってるのは紫乃ちゃんだけみたいだし、昨日はどうしてたのか気になって」
そういえば……藤原以外の友だちの話、聞いたことねぇーな。
ただ単にそういう話題にならなかっただけかもしれないが。
浅宮が気にすると、嫌でも悪い考えが浮かんでしまう。
「志貴くんがわからないなら、それとなく部活の子たちに聞いてみようかしら。何かわかれば、連絡するわね」
「あぁ……悪いな」
「お礼なんて。私たち、親友でしょ? それに――真白ちゃんって、子犬みたいで可愛いから、ほっとけないのよねぇ~」
「言っとくが、真白はオレのだぞ?」
「あら、独占欲が強いのね。そんなの嫌われちゃうわよ?」
「強くて悪りーか」
「私はいいわよ? 嫌われるのは志貴くんだもの」
こいつ……本当にオレが嫌われることを望んでやいねぇーだろうな?
浅宮が念じたら、現実になりそうで恐ろしい。
「お前、絶対心理関係の仕事に向いてるな」
占い師も似合うと思っていたが、心療内科とかも似合うんじゃないかと、そんなイメージができた。
「心理関係は趣味で留めておくわ。――あら、光ってるわよ?」
携帯を見れば、メールの着信が。
真白からだとわかったオレは、すぐに隣の部屋に行き携帯を開いた。